キャンピングカー市場の育成や発展を目指す 一般社団法人日本RV協会(所在地:東京都町田市、会長:増田 浩一)は、2015年2月25日~2月27日に開催された「第3回世界RV会議」に参加し、各国のRV関係者と意見交換を行いました。
本会議の目的は、世界の主要キャンピングカー生産国が集まり、自国のキャンピングカー事業の現状を相互に報告し合いながら、世界のマーケット動向を調査したり、共通の課題に取り組んだりすることにあり、それぞれの国のRV産業の生産性を高め、ユーザーに健全で安全なRVライフを提供するところにあります。
第1回目は2008年にドイツのデュッセルドルフで開かれ、2回目は2013年にアメリカ・フロリダ州のタンパで行われました。
第3回目となる本会議では、前会議から引き続き、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本、中国が参加した他、今回はニュージーランドも出席しました。
<招待参加者>
○日本RV協会会長 増田 浩一(株式会社レクビィ 代表取締役)
○海外情報担当 バルテック ラジムスキー(ベバスト サーモアンドコンフォートジャパン株式会社 代表取締役)
<一般参加>
○田中 昭市(株式会社アネックス 代表取締役)
○荒木 賢治(株式会社ナッツ 代表取締役)ほか山田社員
○高橋 宣行(有限会社かーいんてりあ高橋 代表取締役社長)
○稲葉 弘幸(株式会社東和モータース販売 代表取締役社長)
○佐藤 正(有限会社ミスティックプランニング 代表取締役)
○千葉 啓司(ドメティック株式会社 営業グループRVディヴィジョンマネージャー)
日本からは、以上の9名が参加しましたが、本大会の参加者は、開催国オーストラリアの179名を筆頭に、中国(43名)、アメリカ(18名)、ヨーロッパ(16名)など総勢279名に及びました。
会議においては、参加各国のRVの保有台数・生産(販売)台数などの最新情報が公開され、現在の世界中におけるRVの普及状況が浮かび上がりました。
それによると、総保有台数では、950万台(年間生産数35万7千台)を誇るアメリカがトップに立ち、以下 ヨーロッパ(保有台数549万台・年間登録数13万7千台)、カナダ(保有台数100万台・年間販売数5万2千台)と続き、日本は、保有台数8万5千台(年間生産数4千4百台)で5番目となりました。
これらの数を総合すると、現在のキャンピングカー主要生産国が擁するキャンピングカーの総保有台数は、およそ1,665万台と推定されます。
今回の世界RV会議では、化石燃料の枯渇への危惧、地球の温暖化などから燃費性能の良いキャンピングカーの開発というテーマが討議され、キャンピングカーのダウンサイジングに対する各国の関心が高まりましたが、そのなかで日本の軽キャンピングカーに興味を寄せる人々が多く、日本のユニークな車両開発が評価されました。
また「道の駅」のような、ある程度のセキュリティーが保証された公共空間で、キャンピングカーが無料で休憩・仮眠できるという日本独特のインフラ整備も諸外国のRV関係者の関心を集めました。
さらに、ユーザーの高齢化が進んでいる欧州等と比べて、ファミリーユースに適したキャンピングカーも盛んに造られている日本の開発姿勢が、「次世代のキャンピングカーユーザーを育てることに貢献している」との評価も受けました。
今回の世界RV会議における参加国のなかでは、中国の躍進ぶりが話題になりました。中国のキャンピングカーは総保有台数では2万台。2014年の販売数は6千台と、現時点における普及度はまだまだ低いものですが、富裕層を中心にキャンピングカーへの関心が著しく高まり、今後の市場の拡大を見込んだ欧米RV事業者も次々と中国に支店を構える様子が報告されました。
そのような状況を踏まえ、3年後に開かれる予定の「第4回世界RV会議」の開催国は中国に決定しました。
中国人観光客は、今回の開催国となったオーストラリアでも目立つ存在で、レンタルキャンピングカーを使ってオーストラリア国内を旅行する状況が巷の声としても多く聞かれました。
新しい現象としては、会議に出席する欧米のRV業者団体の会員数が減っているといことが挙げられます。
ヨーロッパでは「CIVD」、アメリカでは「RVIA」という業者団体がありますが、そこに所属する会員数が、年を経るごとに減少し、「RVIA」ではこの5年~10年のうちに半減したとのことでした。
しかし、それはRV産業が衰退してきたことを示すのではなく、ヨーロッパでもアメリカでもRVメーカーの統廃合が進んできたということを意味しています。
ヨーロッパもアメリカも、大きなRVメーカーが中小のメーカーの吸収合併を進めており、この統合が進んできた結果、パーツの共有化などが図られるようになるなど合理化やコスト削減が進められ、生産量は逆に上がり、業界全体の収益は上がっていることが判明いたしました。
このように、今回の世界RV会議に参加し、世界各国のRV業界がさまざまな取り組みを行い、生産量や収益を上げている実情を直に聞き感じ知ることができたのは、欧米諸国のような普及率をめざし日本のキャンピングカー産業や文化の育成に取り組んでいる当協会にとって、大きな刺激になったことは間違いありません。