この6月に、高速道路の休日使用における上限1,000円制度が廃止され、利用者の高速道路離れが懸念されましたが、キャンピングカーユーザー約270名に調査したところ、高速道路の全体的な使用頻度には多少の落ち込みはあったものの、夜間割引を積極的に活用するなど、車内で休憩する時間を調節しやすいキャンピングカーの利点を生かしたユーザーが増えていることが判明しました。
当協会(JRVA)では、高速道路の「ETC休日割引・上限1000円」が廃止されたことによって、キャンピングカー旅行者の意識がどう変わったのかを調査するため、ホームページ上にアンケート項目をつくり、272人のキャンピングカーユーザーに三択で答えてもらいました。
調査は、8月22日から9月21日までの1ヶ月間を通して行なわれ、夏休みの利用状況が反映されていると見なすことができますが、それによると、
A:「旅行するときは、ETC 割引のあったときと同じような頻度で高速道路を使用している」と答えた人は全体の34.9%(95票)。
B:「旅行するときは、高速道路の使用回数が減って、一般道路を使うことが増えた」と答えた人が、38.6%(105票)。
C:「旅行するときは、高速道路の使用回数は特に減らないが、遠出をしないようになった」と答えた人が26.5%(72票)。
という結果になりました。
この傾向だけを見ると、上限1,000円廃止後も以前と変わらず高速道路を使用しているユーザーが約35%はいるものの、「高速を使わず、一般道路を使う」もしくは高速を使っても「遠出をしない」人たちがその2倍近くもいることが判明しました。
しかし、「上限1,000円廃止後の旅行に対する意識の変化」を尋ねたところ、高速道路を使用する場合は、夜間割引を積極的に使うなど、状況の変化に上手に適合している様子がうかがえます。
ちなみに、上限1,000円廃止後のキャンピングカーユーザーの意識を調べると下記のような答が寄せられました。
A:「高速道路を使うときに、夜間割引など、その他の割引に注目して積極的に活用するようになった」53.8%(143票)
B:「高速料金が高くなったので、旅行そのものをしなくなった」17.7%(47票)
C:「高速道路のETC休日割引がなくなっても、渋滞が解消されるのならそちらの方がうれしい」28.6%(76票)
ここでは、回答者の半数を超える53.8%のユーザーが、高速道路の夜間割引などを積極的に活用するようになったと解答しています。
この夜間割引というのは、NEXCO 東日本/中日本/西日本が管理する高速道路(と一部の一般有料道路)を、深夜の0時~4時の間に走行すると50%割引になるというもので、車内に休憩施設を持つキャンピングカーにとっては、高速道路のサービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)などで時間調整できるというキャンピングカーならではのメリットが享受できる制度です。
回答者の半数を超えるユーザーがこの制度を利用しているというのも、そういうキャンピングカーならではの使い勝手が反映されていると見てよいようです。
また、「上限1,000円制度」がなくなり、休日の高速料金が高くなったような印象が生まれましたが、それにもかかわらず「旅行そのものをしなくなった」という人は17.7%にとどまり、むしろ「渋滞が解消されるのなら、そちらの方がうれしい」と答えた人の方が、28.6%という高い数値を示しました。
このことは、キャンピングカー購買層の年齢が、40代~60代という高齢者によって支えられていることを物語っているともいえそうです。
特に、ファミリーユースの多い40代~50代には、高速割引の有無にかかわらず、人数で料金を頭割りをすればさほどの負担にならないという意識を持ちやすいと推測されます。
従って、最後の「渋滞が解消されるのなら、そちらの方がうれしい」という回答には、高速道路の料金増よりも、キャンピングカーによって高速を走ることの利便性を選択したユーザーの声が反映されているようにも思えます。