2011年3月11日の東日本大震災の後、多様な設備を持ったキャンピングカーを被災地に提供したキャンピングカー事業者たちが支援活動を始め、キャンピングカーを使った被災者からも、使い勝手に関する感想が届きました。 提供した業者からも、災害時に役立つキャンピングカーの機能改善について提案が寄せられました。
当協会では、このたびの東日本大震災の復興支援を行なうため、協会内に「東日本大震災復興支援プロジェクト」を設け、様々な活動を展開しています。その一つとして、各地のキャンピングカーイベント会場や全国の日本RV協会会員各社の窓口にて義援金を募り、現在までに1,616,390円の寄付金を日本赤十字社を通じて納めました。
また、収益金を被災地へ送るためのチャリティーオークションを主催したり、キャンピングカーのユーザー団体である「くるま旅クラブ」へくるま旅クラブ事務局から、キャンピングカーを活用したボランティア活動を呼びかけました。
しかし、それとは別に、個々の会員も自主的に被災地にキャンピングカーを貸与したり、支援物資を提供したり、支援金を寄付するなどの復興活動を精力的に行なってきたことが、このたびの協会会員を対象としたアンケート調査から分かりました。
この調査内容は、復興支援として各事業者がとった具体的な行動と、その支援活動を通してフィードバックされた被災者の意見および一連の救援活動から得られた教訓などを記述式で答えてもらうというものでした。
アンケートによる回答を回収できたのは21社。内訳は下記のようになりました。
【各会員事業者が行なった支援活動の具体例】
地震によって倒壊したり、津波で押し流された被災者のための仮設住宅や、支援活動を行なうボランティアの活動拠点としてキャンピングカーもしくはキャンピングトレーラーを提供した会員事業者は11社(車両合計22台)。
災害の被災物撤去などのためにレッカー車を用意した会員が1社(1台)。
福島原発の放射能除去活動用として、酸素カプセル車を提供した会員が1社(1台)
食料、生活物資、自動車燃料などの物質的支援を行なった会員が7社。
様々な形で義援金を募集し、それを赤十字などの支援組織を通じて被災地に送った会員もしくは現在も継続して義援金を募集している会員が4社。
このように、会員事業者が展開した支援活動は多岐にわたりましたが、やはり被災された方々からいちばん歓迎されたのはキャンピングカーの提供で、使用した被災者の方々より、仮設住宅としての快適性、安心感、信頼性に対するたくさんのコメントが寄せられました。
しかし、それと同時に、車両を提供した会員事業者の観察から、現状のキャンピングカーの構造的限界と、新たな課題が浮かび上がったことを指摘する声も集まりました。
被災された方々からのキャンピングカーに対する評価は、ほぼ次の2点に集約されました。
雨・風をしのぎ、プライバシーも確保できる場所で安眠できるようになったので、とても助かった。電気、ヒーターなどの恩恵に与れるので、生きた心地が確保できた。
電気、水やガスが供給されるということもありがたかったが、避難場所も含めて、被災地の生活で最初に困るのはトイレとシャワー。それが保証されただけでもありがたかった。
しかし、一方では、「自分たちだけプライバシーが守られるキャンピングカーを使って生活するのは、他の人たちに対して気が引ける…」という感想を述べた方も多かったという報告もなされました。
また、協会会員が支援活動を行い、そこから得られた教訓としては、次のような意見が寄せられました。
ボランティアの宿泊場所としてはバンコン(1ボックスカー)ぐらいのサイズのキャンピングカーでも十分すぎる機能があるが、被災者に使ってもらうには、キャブコン以上のある程度の大きさと設備が必要だと感じた。
災害直後に被災地に支援物資を届けに行ったが、食料や衣類といった支援物質は比較的早く供給されていた。しかし、津波のような海水による水害を受けた人が身体を洗ったりする施設が欠けていた。そのとき、キャンピングカーのシャワー機能が大変喜ばれたが、シャワーを恒常的に使い続けるためには、水の確保やLPガスの補給が不可欠なため、断水地域やガス供給施設がない地域では限界があるかもしれないと思った。
リウマチを患った高齢者の方、車椅子の障害者の方、乳飲み子を連れた方がキャンピングカーに避難して来られたが、車内に乗り込むだけでも大変な方々の使い方を見ていると、つくづくエントランスドアの広さや手すりの有無、ステップの段調整など、災害対策も射程に入れたキャンピングカー開発の重要課題が浮かび上がってきた。
燃料不足による電源の確保ができないため、今後はエネルギーの再生が可能なソーラー設備等の必要性を感じた。また、ガソリンか軽油だけでしか走れないクルマには限界があり、数種類の燃料で走れるベース車の必要性をつくづく感じた。
このような貴重な感想が数多く寄せられ、今後のキャンピングカー開発にも新しい視点が加わりそうな成果が得られました。
当協会では、1日も早い被災地の復興を祈って、これからもあらゆる智恵と力を振り絞って支援活動に励むつもりでおります。