9月27日(日)に、日本RV協会(JRVA)主催によるシンポジウム「より良きくるま旅を目指して」が開催されました。
これは、キャンピングカーの新規ユーザーの増加に伴って、その使い方や、使う場所をめぐり、マナー問題・ゴミ問題が発生してきたことに対し、その解決方法を模索するために行なわれたものです。
【出席者】※敬称略
コーディネーター
増田英樹(ますだ・ひでき)・日本RV協会 元会長
パネラー
中島祥和(なかじま・よしかず)・ジャーナリスト
山本馬骨(やまもと・ばこつ:本名 山本拓弘)・作家
蒲生 哲(がもう・さとる)・キャンプ場支配人
田中昭市(たなか・しょういち)・日本RV協会副会長 広報部長
【プログラム】
1.あいさつと基調報告 日本RV協会会長 増田英樹
2.中島祥和氏 講演 「マナー違反への警鐘」
3.山本馬骨氏 講演 「くるま旅の新システムの提案」
4.蒲生 哲 氏 講演 「キャンプ場からの観察」
5.田中昭市氏 講演 「メーカー側の決意」
6.パネルディスカッション 1
7.パネルディスカッション 2
8.パネルディスカッション 3
9.閉会の挨拶
このようなフォーラムを行うのは、日本RV協会としても初めての試みである。このシンポジウムを企画した理由は、キャンピングカーの新規ユーザーの増加に伴って、その使い方や、使う場所をめぐる様々な問題が出てきたからだ。
2007年春に、私たちは「キャンピングカー白書」というものを出した。それによって、団塊の世代を中心にキャンピングカーで遊ぶ方が確実に増えてきていることが分かった。
保有台数で見ると、今年は6万台近く登録されており、今後は年間4~5千台ほど増え続けていく見通しも立っている。しかし、新規ユーザーが増えてくるにつれ、その人たちが「道の駅」や、高速道路のサービスエリアなどで車中泊をされた時に、マナーやゴミ処理をめぐって、トラブルが発生していることも分かってきた。
それが大きな社会問題になる前に、私たちは、なんとかこの問題の解決を目指し、業界の外で活躍されている専門家の方々からも意見をうかがって、大いにディスカッションしたいと思っている。
基調講演の席上、マスコミ人として最初にマナー問題に警鐘を鳴らされたジャーナリストの中島祥和さんが、現在道の駅などで不法に長期逗留しているキャンピングカーユーザーの実状を報告し、「このままでは正しいルールを守っているユーザーたちも、社会から排斥されかねない」という危機感を訴えました。
続いて、長期のキャンピングカー旅行を実践されている山本馬骨さんから、マナー問題・ゴミ問題が発生する原因は、「くるま旅」に適した真の宿泊設備が整備されていないからだという指摘がなされ、「くるま旅」を安心して低コストで実現するための新システムの提案がありました。
岩手県でキャンプ場の支配人を務められている蒲生哲さんからは、キャンピングカーユーザーがキャンプ場に来ないという理由の分析が行なわれると同時に、キャンプ場を利用するキャンピングカーユーザーと、道の駅などに泊まるユーザーとの比較が例証として出され、「より良いくるま旅」を考えるためのヒントが提出されました。
最後に、メーカーの立場を代表して、JRVA広報部長の田中昭市さんが「キャンピングカーは社会のため、人のために役立つアイテム」であることを熱く謳い、ユーザーのマナーが向上すれば、社会に貢献する乗り物であることが、さらに認知されると強調。そしてそのためには、メーカー側の意識改革も大事であるという認識を披露されました。
パネルディスカッションと質疑応答の時間に入ると、聴講者の間からも様々な立場、幅広い観点からの発言が積極的になされ、用意された3時間が短いくらいの討議が繰り広げられました。